HAIR KNOWLEDGE

リタッチとフルカラー、どっちにすればいい?
——迷ったときの考え方

2026.08.02  |  Kazunori Kuwabara

「今日は根元だけでいいのか、全体染めたほうがいいのか、わからなくて」。カラーのご予約のとき、本当によく聞かれる質問です。リタッチとフルカラー、料金が違うだけに、損しない方を選びたいですよね。今日は、僕がどう考えて使い分けをすすめているか、お話しします。

先に言葉の整理だけ

リタッチは、伸びてきた根元だけを染めることです。生え際の白髪や、地毛の黒い部分にだけ薬を塗ります。フルカラーは、根元から毛先まで全体を染めること。ここまでは、ご存じの方も多いと思います。

で、どっちにすべきか。僕の答えはシンプルです。毛先の「色」に不満がなければリタッチ、色を変えたい・直したいならフルカラー。基準はこれだけなんです。

ムラなく染まったブラウンカラーの仕上がり ロングヘア

毛先は「もう染まっている」んです

フルカラーを繰り返している方の毛先には、これまでのカラーが全部積み重なっています。染めるたびに上塗りしている状態です。

ここに毎回薬を重ねると、2つのことが起きます。まず、傷みが積もる。カラー剤は髪の表面を開いて色を入れるので、回数分だけ負担がかかります。壁のペンキと違って、髪は塗り替えのたびに下地が薄くなっていくイメージです。

もうひとつは、色が濁ること。ブラウンを何度も重ねた毛先は、だんだん暗く、重たく沈んでいきます。「なんだか毛先だけ黒っぽい」という方、これが原因のことが多いです。

根元だけ染めれば、毛先は薬に触れません。つまりリタッチは、節約メニューではなくて、毛先を守るメニューなんです。ここ、誤解されがちなところです。

とはいえ、リタッチだけでは限界も来ます

じゃあずっとリタッチでいいかというと、そうもいきません。

カラーの色は、シャンプーのたびに少しずつ抜けていきます。3ヶ月も経つと、染めたてより明るく、黄色っぽくなってくる。根元だけ染め続けると、今度は「根元は濃いのに中間から毛先は褪せている」という段差が生まれます。

だから僕は、リタッチを2〜3回続けたら1回フルカラー、というリズムをおすすめすることが多いです。普段は根元だけで毛先を休ませて、色が褪せてきたタイミングで全体を整える。これで傷みと色持ちのバランスが取れます。

あとは、明るさを変えたいとき。今より明るくするのも、暗く落ち着かせるのも、全体に薬を通す必要があるので、これはフルカラー一択です。

ツヤのあるダークカラーのロングヘアの仕上がり

白髪染めの方は、少しだけ事情が違います

白髪が気になって染めている方は、リタッチの出番がもっと多くなります。白髪は根元から生えてくるので、気になるのはいつも生え際。それなら、毎回全体を染める理由はあまりないんです。

月1回気になるなら、月1回はリタッチで大丈夫。フルカラーは2〜3回に1回で十分です。白髪染めは色が濃いぶん、毛先に重ねたときの沈みも早いので、なおさらです。

それと、縮毛矯正をされている方。矯正毛はカラーの薬が効きやすい状態なので、毛先に余計な薬を重ねない意味でも、リタッチ中心の組み立てが向いています。うちが縮毛矯正のお客様にリタッチをよくすすめるのは、これが理由です。

迷ったら、決めてこなくて大丈夫です

ここまで読んで「自分はどっちだろう」と考えてくださった方、ありがとうございます。でも実は、予約の時点で決めてこなくていいんです。

当日、髪を見て、毛先の色の状態を確認して、「今日は根元だけにしましょう」「そろそろ全体を整えましょう」とご提案します。予約はカラーとだけ取っていただければ、中身は当日一緒に決めれば大丈夫です。

あるお客様の話

2ヶ月おきにフルカラーをされていた50代のお客様がいます。初めて来られたとき、毛先がかなり暗く沈んで、手触りも硬くなっていました。ご本人いわく「毎回、全体を染めるものだと思っていました」。

前のサロンで悪気があったわけではないと思います。ただ、その方の白髪の量と髪質なら、毎回のフルカラーは明らかに過剰でした。

それからはリタッチ中心に切り替えて、フルカラーは3回に1回。半年経った頃、鏡を見ながらその方が言われました。「毛先の色が、ちゃんとブラウンに見えるようになりましたね」。重ね塗りをやめただけで、色は勝手にきれいになっていくんです。

髪は、足すより休ませるほうが応えてくれることがあります。カラーの間隔で悩んでいる方に、いちばん伝えたいことです。

Hair & Spa Fermata の店内 入口と薬剤の棚

最後に

毛先の色に不満がなければリタッチ。色を変えたい・整えたいならフルカラー。そして迷ったら、当日髪を見て一緒に決める。それだけ覚えて帰ってもらえれば十分です。

リタッチは手抜きではありません。毛先を守る、ちゃんとした選択です。

気になる方は、LINEで写真を送ってみてください。今の髪の状態に合わせた選択肢を、一緒に考えます。

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桑原 和誠
桑原 和誠|Hair & Spa Fermata オーナー

美容師歴22年。縮毛矯正・髪質改善を専門に、船橋市宮本にてプライベートサロンを営む。「目の前のお客様に全力を」をモットーに、完全マンツーマンで施術を行っている。

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