初めてのサロンの椅子に座って、「前はどちらで?」と聞かれる。なんとなく言葉をにごしてしまう方、けっこう多いです。前の美容室に悪い気がする。うまくいかなかった話をすると、文句みたいに聞こえる。そのお気持ち、すごくわかります。
前のサロンの話は、悪口にはなりません
僕が前の美容室のことを聞くのは、比べたいからではありません。
髪は、過去にしたことを全部覚えています。いつ、どんな薬を使ったか。それが今の髪の中に残っていて、次の縮毛矯正のかかり方を左右します。
だから前のサロンの話は、悪口じゃなくて、髪の記録なんです。
いちばん聞きたいのは、この1年のことです
全部を思い出さなくても大丈夫です。
知りたいのは、だいたいこの1年。縮毛矯正をいつかけたか。カラーはしたか。ブリーチや黒染めは入っていないか。
黒染めやブリーチは、ご本人が忘れていることも多いです。「そういえば、去年の春に一回だけ」と、あとから出てくることもあります。思い出したら、途中でも言ってください。
家で染めたことも、教えてください
意外と言いにくいのが、市販のカラーです。
「時間がなくて、自分で染めちゃって」と、少し申しわけなさそうに話される方がいます。全然いいんです。
市販のカラーは、髪への残り方が美容室のものと少しちがいます。それを知らずに矯正の薬をつけると、思ったより強くかかることがある。言ってもらえるだけで、僕は薬の強さを変えられます。
うまくいかなかった話が、いちばん役に立ちます
「前にかけたら、毛先がチリチリになって」
こういう話は、言うのに勇気がいると思います。でも僕にとっては、いちばんありがたい情報です。
どこが、どんなふうになったか。それがわかると、同じことが起きないように最初から組み立てられます。
失敗の話は、次の仕上がりの材料になります。
もちろん、前の美容室が悪かったとは限りません。髪の状態やその日の湿気で、仕上がりが変わることもあります。誰かを責める話じゃないので、気楽に話してくださいね。
思い出せなくても、髪を見ればわかることもあります
「何をしたか、もう覚えてなくて」という方もいらっしゃいます。それで大丈夫です。
髪をさわって、根元と毛先の手ざわりを比べると、だいたいの履歴は見えてきます。わからないところは、一部に薬を試してから決めることもあります。
完ぺきに伝えようとしなくていい。覚えている範囲で十分です。
あるお客様の話
初めて来られたお客様で、最初はほとんど何も話されなかった方がいました。
髪をさわりながら話しているうちに、「実は前のお店で、もう縮毛矯正はやめたほうがいいって言われて」と、ぽつり。
その方の毛先は、たしかに傷んでいました。なので根元だけ矯正をかけて、毛先はカットとトリートメントで整えることにしました。
帰り際に「最初に言えばよかったです笑」。言ってもらえて、助かったのは僕のほうでした。
最後に
前の美容室の話は、遠慮なくしてください。それが、今日の髪をきれいにする近道です。
話すのが苦手な方は、この1年でしたことをメモして、LINEで先に送ってくださっても大丈夫です。当日は、そのメモを見ながら一緒に確認します。
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